転勤族に子どもの転校はつきもの。
ですが、小学校、百歩譲って中学までが大半です。さすがに高校となると、なかなかいませんよね? …大丈夫! 実際に高校で転校したワタベが、実体験を交えて失敗しない高校の転校の手順をお教えします!
ターニングポイントは子どもの教育問題
子どもが何歳か。受験のタイミングはどうなるか。複数子どもがいれば、もう大変!
夫の転勤に伴って全国各地を転々としている転勤族。家族いっしょが一番と考え、みんなで引越しを繰り返してきたことでしょう。ですが、ターニングポイントとなるのが子どもの教育問題です。
子どもが小さいうちはさほど悩むこともなく転園、転校させます。ですが、成長するにつれ単身赴任を決断する人が増えてきます。特に、高校受験を控える前にひとつ所に落ち着きたいという家庭が増えます。
中学1年生ならば転校もやむなしという人でも、高校受験がちらついてくる2年や3年ともなればどうでしょう。
大半の方は子どものことを優先して単身赴任を選択していきます。
必見 子どものことを考えるなら単身赴任?ホントにそれでいい?
参考 お金がかかる単身赴任!どうやって節約する?
高校進学を控えた中学生ならば単身赴任以外の選択肢もある
まだ中学3年生なら、ちょっと待って!県外受験って手もあるよ。
ただ、実際の選択肢は単身赴任一択ではありません。
家族みんなで引越しして新しい土地で受験することはできない話ではありません。さらに、今の土地で受験し合格してから転入する道もあります。これは人によりますが、親せきなどが近くにいれば子どもだけで下宿させてもらうことだってできます。
県外受験があるかどうか決定されるのが、出願締め切り後になることもあります。受験が間近に迫っているならば、どこで受験するのか事前に調べて決めておきましょう。
県外受験が行われなければ、今住んでいるところで受験し合格後にすぐに転入という形式をとらなければなりません。高校新1年生の特別転入受け入れ枠がある学校も存在するので、とにかく事前のリサーチがコトを決めます。
ただ、高校への転入学のしくみは都道府県ごとに異なります。正確なところについては、教育庁やそれぞれの教育委員会に確認するようにしていください。教育相談などの名称で、相談窓口を設けていることもあります。
とりあえず、分からないことはしつこく聞くこと!こちらが必死に求めれば応えてくれます。
問題は高校での転校
難しいのが、もう高校生になっている場合。自分もそうでした。
実際問題、高校生のお子さんがいて転校を選ぶ家庭はまれですよね。
高校での転校は大学入試に不利ですし、そもそも転入自体が難易度高すぎます。数少ない枠を巡って転入希望者は殺到します。入りたい高校を選ぶなんて余裕はありません。入れてくれそうなところがあれば、何とかお願いして融通してもらうというのがホントのところです。
私自身、数十年前の話ですが、高校1年の終わりで転校しています。私の意志や希望はほとんど尊重されず、どうにか空きがありそうな2校を示されどちらを受験するかということしか選べませんでした。
実際に親の転勤で高校を転校した立場から、私の場合の体験談もまとめています。
体験談 高校で転校するってどんな感じ?
子どもの負担は勉強面・精神面でも甚大
大変だったのは、転校先の教育水準が元の学校とまるで違っていたこと。授業の進み具合や選択科目も異なります。転校生だからと何か特別なサポートがあるわけではなく、足りない部分を補うのはすべて個人任せ。加えて、方言のキツイ地方だったので授業で先生が言っている言葉の意味が分からないという状況です。前の学校でやっていた部活も存在しませんでした。
自分の場合はもう、学校は卒業の資格だけもらえばいいやと割り切りました。実際問題、子どもにかかる負担は勉強面でも精神面でも相当なものです。大学受験にも不利になることはあっても、有利になることはありません。
ですから、親として子どもの高校時代をどうするかは早いうちから考えてあげてください。
それでも転校を選ぶなら…転入手続きを確実に
しつこいようですが、高校の転入学は簡単ではありません。
大半の高校では転入学試験は3月に行われます。出願はその数週間前になっているので、転勤の時期とずれていれば受験できません。県外からの受験となると、事前の審査も必要です。大前提として、欠員がなければ募集すらありません。
私立と公立でいえば、まだ公立高校の方が受け入れ体制で便宜をはかってもらいやすいです。私立の場合はバラバラです。
高校を転校するときの流れ
出席日数が足りているか確認してもらいます。
出席しなければならない日数の3分の1以上なければ、そもそも転校できません。
具体的には「在籍証明書」「帝政期証明書」「校長の転学照会書」です。
教育庁や教育委員会で学校情報を聞き出します。
希望する学年の欠員も大事な情報です。
義務教育ではないので、試験に合格しなければ入学できません。
元の学校より偏差値の高い学校の場合は勉強も必要でしょう。
受け入れ可能か電話で相談します。
大丈夫であれば編集試験の日時と試験内容についても確認します。
余裕があれば実際に校内を見学させてもらいます。
周辺環境だけでも見ておくと試験に気持ちのゆとりが生まれます。
私の場合は、その学校の先生が監督としている横で受けました。
定期試験のような簡単なものでした。
元の学校で受け取った書類を提出します。
受け入れ体制や手続きなどは、地域や年度によって変更もあります。
必ず、早めはやめに関係各所と連携をとって動いてください。
ちなみに、下の兄弟の手続きについては大丈夫ですか?
参考 小学校の転校手続きカンタンに終わらそう!
参考 幼稚園の転園の決め手になるのはたった1つの条件
参考 転勤がある子どもの習い事選び
転校をやめて子どもだけ残すという手段も
子どもも大事だけど、家族みんなにとって最善の策を考えよう。
蛇足ですが、子どもを一人残すという選択肢もあります。どちらかというと、男の子に偏った方法かもしれません。
高校生専門の下宿もあります。名門校で全寮制学校もあります。
上の子が大学生ならば、下の高校生の子をいっしょに住まわせるということだってできます。この場合、自制心があり自立して生活を送れるかどうか、子どもの見極めが必要です。
単身赴任がよいのか、転校がよいのか、子どもと別居するのか。一概には決められません。
正解は家族の数だけあるはずです。家族の考え方、子どもの気持ちを尊重しながら一番納得できる道を選んでください。
我が家も数年後には真剣に考えなければならない、難しい問題です。よく話し合って、家族みんなが納得できる答えを出せますように。
参考 転校生は学力を保てないと苦労します(断言)
—-追記:文部科学省の転校についての記載——————
ちょっと古いのですが、平成3年に文部科学省からのお達し(保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について)で次のようなものが出ています。
政府としての方針ですので、ざっと目を通してみてください。なかなか理想通りには進んでいませんが、方向性は見えてきます。
保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について
近年、我が国の経済活動の広域化や国際化等の一層の進展に伴い、全国的規模で転勤する者や海外から帰国する者が増加する中、保護者の転勤や帰国に伴う高等学校における生徒の転入学及び編入学については、制度や運用面の問題、受入れ側の制約等により、必ずしも円滑に実施されていないとの指摘がしばしばなされています。そして、転入学等が円滑に行われない場合は生徒や保護者に著しい負担をかけるとともに、単身赴任を余儀なくさせるなど社会的にも大きな問題となっています。
(文部科学省:保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について)
一 転入学等の受入れ機会の拡大について
(一) 転入学試験等の実施回数・実施時期
各学校においては、少くとも原則として各学期ごとに転入学試験等を実施するよう努めるとともに、できる限り随時の受入れについても配慮することが望ましいこと。また、四月当初の受入れについては、今後とも特段の配慮が望まれること。
(二) 転入学等受入れ校
転勤者等にとっては、転入学者等を受け入れる学校はできる限り多い方が望ましく、その選択の幅を広げるためにも受入れ校の拡大を図る必要があること。このため、実質的に受験校が制限されることのないよう、学校ごとの出願期間や試験日をずらして、受験機会の複数化を図ったり、学区等について弾力的な定めや運用を行うことなどについて配慮すること。
(文部科学省:保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について)
4月が最も門戸が開かれています。その次はやはり各学期の始まりです。
二 転入学等に係る受験手続き等の簡素化、弾力化について
(一) 提出書類、出願期間
転入学等は極めて限られた時間と切迫した状況において行われるものであることから、転入学等に係る手続きを可能な限り簡素化、弾力化すること。このため、提出書類については願書以外の書類は最少限にとどめるとともに、場合によっては、試験実施後における提出を認めたりするなどの措置も検討すること。
転入学試験等の出願期間については、受験の機会を失わせることのないよう、できる限り長い期間を設定するとともに、試験実施日の直前まで受け付けるなどの配慮が望まれること。
(二) 試験科目等
転入学試験等については、例えば、試験教科を軽減したり、転居前の学校の成績証明書等と面接のみにより、改めて学科試験を行わないなどの工夫も考えられること。
(文部科学省:保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について)
これは、転入希望の学校との話し合いで柔軟に決まることもあります。まずはこちらの状況を説明し、先方に相談を。数も限られるので融通が利くこともあります。
四 各都道府県における情報収集・提供体制の整備及び相談窓口の設定について
転入学等に関する具体的照会に対応するため、各都道府県の実情等に応じ、適切な相談窓口を設置するなど、各都道府県における転入学等に関する情報の収集・提供体制の整備を進めること。
さらに、各学校においても、転入学等に関する担当者を定め、外部からの相談に適切に対応できるような体制を整えること。
(文部科学省:保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について)
各都道府県で、相談に乗ってくれる窓口があるはずです。学校側の担当の方もいるはずです。分からないことはしつこく聞き出しましょう。
(四) 高等学校の実態
ア 転入学者の実態
平成元年度において転入学試験の志願者数は公立で約一〇、四〇〇人、私立で約二、六〇〇人、総計約一三、一〇〇人となっている。また、転入学者数は公立で約八、六〇〇人、私立で約二、二〇〇人、総計約一〇、八〇〇人となっている。受入れ率(転入学者/志願者)は公立、私立ともに約八三%である。うち、四月当初の転入学者数は約三、九〇〇人で、転入学者総数の約三六%を占めている。
イ 転入学試験の実施回数・実施時期
公立では年一回実施の学校が最も多く、回数が多くなるのに従い実施校は少なくなっている。また、原則として実施しないとする学校が私立では調査数の約一七%、公立では約四%あった。
転入学試験の実施時期は公立では三月、四月、八月が多く、私立もほぼ同じ傾向で、概ね企業の転勤の多い時期と一致している。
ウ 転入学者のための特別定員枠の設定
転入学者のための特別定員枠を設定している学校は公立で一、一五九校(全校数の二七・七%)あり、そのうち、八三一校が定員の枠外として設定している。また、私立において特別定員枠を設定している学校は一二六校(全校数の九・六%)あり、そのうち八二校が定員の枠内において設定している。
エ 転入学試験の実施科目
公立、私立ともに国語、数学、英語の三教科を実施している学校が多数にのぼっている。このほか、専門科目、面接等を加えて実施する学校もある。
ウ 転入学試験の実施時期
公立では四月、八月、三月、私立では三月、八月、四月の順に多く、いずれも企業の転勤の多い時期とほぼ一致している。なお、私立では四月当初に実施する学校は少ない。
オ 転入学試験等の受験手続きなど
転入学試験の出願期間については、公立では二~三週間程度、一週間程度とする学校が多いが、一か月程度以上としている学校も相当数ある。私立では一週間程度が最も多い。他県又は県内の他の学区からの転居予定中学生が入学試験を出願する場合の出願期間は、一週間程度としている学校が公立、私立ともに最も多く、一か月程度以上としている学校も公立では相当数ある。
転入学試験の出願書類については、出願許可申請書のほか転勤、転居証明書や住民票を求める学校が多い。他県又は県内の他の学区からの転居予定中学生が入学試験を出願する場合の提出書類は、公立では、転勤・転居証明書のほか「他の高校を受験しない証明書」を求める学校もある。
また、転入学試験科目については、国語、数学、英語の三科目及びこれに面接を加えて実施する学校が多い。
(文部科学省:保護者の転勤に伴う高等学校における転入学者等の受入れの推進について)
数は限られますが、8割の高校で受け入れはしています。転校させると決めたなら、あきらめずに気合を入れて探しましょう!4月がベストですが、転勤シーズンに受け入れている学校もあります。
試験自体は国語・数学・英語が基本です。自分の時もそうでした。面接はごくごく簡素なものが行われましたが、スケジュールが厳しければほかの手段で何とかなることもあります。
転校すると腹を決めたなら、何としてでも新しい学校に行かせましょう! 何とかなる!!
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