「転校生はかわいそう」ってホント?転校生だった私から言うと、悪いことばっかじゃないよ。
わが家は全国転勤ありの現役転勤族です。家族で動いているので、子どもは幼稚園を3園移り、小学校は2校目です。たぶん、あと1回は小学校を転校するでしょう。
この記事ではで親の立場から、小学生の転校のことを中心にまとめています。あなたが転校させられる子どもの側なら、こちらの記事をどうぞ。
参考 転校がイヤで悩んでいるあなたへ
親のための高校生での転校については別記事にしています。経験者にしか分からない話です。よろしければご覧ください。
参考 高校で転校ってできるの?実際のところどう?
参考 家族で帯同するか、単身赴任するか?
子どもを転校させるのはいつまで?
小学生までが多数派。そこから先は単身赴任が増えるよ。
仕事や家庭の事情で引っ越すことは珍しいことではありません。小学校低学年くらいまでであれば、クラスに1人や2人は転入生がいたのではないでしょうか。
ですが、学年が上がるにつれて、転校生の比率は下がっていきます。統計でも出ているように、子どもを転勤に合わせて転校させるのは小学生までが主流です。
(独立行政法人労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.174 企業の転勤の実態に関する調査より引用)
参考 子どもの勉強・進学と単身赴任の兼ね合いをどうするか??
親の都合で転校させるにしても、子どもの年齢によってもどうするか悩みますよね。小さいうちは両親がいた方が何かと心強いものです。
ですが、大きくなってくれば親との関係よりも友人関係の方を大切になってくることもあります。それぞれの家庭での考え方や将来の展望によってこのへんは正解というものはありません。それでも、一般的な傾向を知ることで参考になることはあります。
古い調査ではありますが、引っ越し業者のアートコーポレーション株式会社が行った1999年の調査があります。これは小学生の転校について調べられたものです。
この調査の頃はまだのどかな雰囲気も残っていたのですべてが今も同じだとはいえませんが、転校生だったころの自分が納得できるものだったのでご紹介します。
転校回数と転校時期
この調査結果では、転校経験者のうち1回の転校が62%、ほぼ2年に1回の転校になる4回の人が5%、3年に1回の転校になる3回の人が10%で、調査対象者237人の総転校回数は小・中学校の9年間で367回にのぼり、その44%が小学校低学年で行われています。転校の時期のピークは3~4月で、全体の半数を占め、次いで夏休み(7~9月:25%)でした。
(引用:アート引越センター No.3 TRANSTAR KID’S REPORT vol.1)
家を建てて引っ越しするという人は、お子さんが小さいうちにと考えます。小学生ならば低学年のうちでしょう。
転勤族の場合も、子どもが小学生のうちは家族いっしょに暮らす方を優先するところが多いように感じます。下にも弟や妹がいるのに早いうちから単身赴任しまうと、お母さんだけのワンオペ育児になってしまいます。男の子だと、女親だけでは心細いこともありますよね。そうしたことも理由としてあがってきます。
単身赴任が選択肢に入ってくるのは、高学年に入ってからという方が多数派なのではないでしょうか。
そして、転校の時期。
個人的には春休み空けの4月からがベストだと思います。
会社によっては10月、もしくはまったくイレギュラーな時期の異動もあります。家庭の事情によりますが、春まで単身赴任をしてもらって4月から転校するという人もいました。
子どもにもよりますが、春から時間をかけて出来上がったクラスにいきなり入り込むのは結構なエネルギーがいります。
春のについで多い夏休み明けの転校はどうでしょう。学校に慣れないうちに運動会や学芸会、合宿、修学旅行などが行われることになります。自分の子どもがそうした学校行事に対応できるかどうか。
一度話し合いながら転校時期を決めてもらえればいいなと願います。
それでなくても目立つ転校生なのですから、スタートだけでも合わせたいというのが親心です。
クラス替えのある学校ならば、全員が顔見知りというわけでもありません。よそから来た転校生もなじみやすいのが春です。
もちろん、やむを得ず中途半端な時期になることもあるでしょう。すると、転校生ということより目立ちます。口さがない保護者などは、離婚やいじめが原因で引越してきたのかも…などという人がいないとも限りません。
転校させるなら小学校のうち?中学入学時?
小学校のうちに転校すると、最初から中学で友達がいる。でも、小6の修学旅行などで辛いかも。
この調査ではでてきませんが、小学校から中学校へ上がるときも悩みどころです。キリのいいところで中学入学に合わせて転校するのか。それとも小学校のうちに引っ越してしまうのか。
中学から転校となると同じ小学校の友達が一人もいません。
それを乗り越えられるならば、個人的には中学入学のタイミングをおすすめします。小学校のうちに転校すれば、中学に入学する際にほかの子と同じ条件になります。案外、すんなり移行できます。ただし、落とし穴も。
小学校高学年に転校となると、仲の良い友人がすぐにはできません。修学旅行などの大きな行事をむかえてしまう可能性があります。また、小学校に思い入れがもてず卒業式を迎えるかもしれません。卒業アルバムも大事に思えない場合もあります。
転校させる理由は転勤だけじゃない
家を建てたからというのが、理由として多いです。最近は離婚もかな。
至極当たり前の話です。
でも、自分が転勤族を生まれてからずっとやっていると、転校生=親が転勤族だと思ってしまうんですよね。
転校の理由
転校理由のトップは、「保護者の転動に伴う転校」が49.6%、「家の新築・購入や転居・移転」が 43.9%で、とくに転校の割合が減る小学6年生から中学時代に保護者の転勤に伴う転校のウェイトが高まっています。
(引用:アート引越センター No.3 TRANSTAR KID’S REPORT vol.1)
確かに、勉強や友人関係が難しくなってくる頃です。受験がからんでくる家庭もあるでしょうし、あえて引っ越ししなくてはならない家の購入はこの時期にぶつけませんよね。となると、転勤族の子ばかりが転校生となってくるわけです。
住む地域にもよります。大人になって自分が住んだ土地は転勤族が多く、転校生のママは転勤がある方ばかりでした。
ただし、最近の離婚数の増加からみて、家庭の事情で転校するお子さんも今は多いはずです。
子どもは転校を嫌だと思っている?
そりゃあ、イヤです。でも、切り替えが早いのも子ども!
転校への心理状況
転校を知らされた時「イヤだった」が57%で、その理由として約8割が「クラスメイトや友人との別れ」を挙げています。転校前では、新しい学校や新しい生活への不安より友達と別れることのつらさが子供たちを直撃しています。
(引用:アート引越センター No.3 TRANSTAR KID’S REPORT vol.1)
子どもが小さいほどこの傾向があると思います。
ただし、あくまで一過性の感情で、新しい学校に行ってしまえばすっかり気持ちが切り替わってしまう子が大半のようです。
あくまで自分の周りを見回してですが。行きたくないとわんわん泣きわめいていた子ほど、自分の感情を吐き出してしまうことができるからでしょう。
反対に別れが平気な様子の子でも、親に気を使ってということもあります。転校先でなじめないと、もとの土地に戻りたい気持ちがつのって不登校につながった知人もいました。
どの場合も、親がしっかりと子供の気持ちを受け止めてあげることが大事です。転勤の場合は親の都合で子どもの世界をまるっきり変えてしまうのですから。子どもの世界は家庭と学校というとても狭いものです。
転校と家族関係
一方転校に関して64%は「家族兄弟の助け合いは必要」と考えており、また「母親は楽天的」と全体で 38%が答え、「母親の方が子供より早く、新しい環境になれていました」と35%が答えるなど、母親の楽天的な姿勢が、子供たちの新しい環境への適合に有効であることが浮かびあがっています。
(引用:アート引越センター No.3 TRANSTAR KID’S REPORT vol.1)
私自身、心配性ですが、あまり子どもに不安なそぶりを見せないようにしています。親が「そんなところ行きたくない」「引っ越ししたくない」などとマイナスのことばかり言っていたら、子どもも間違いなく影響を受けます。
親が「今度〇〇に行くの!やった、一度住んでみたかったの」と喜んでいれば、子どもだって不安よりも楽しみが勝りますよね。
私の場合は内示が出た当日に、書店で当地のガイドブックを震える手で購入します。無理やりにでもテンションを上げて、子どもといっしょに行きたい場所や食べたいものをピックアップしていきます。
人間の心理はおもしろいもので、そうやって楽しんでいるとなんだかワクワクしてくるんです。
そして、良いところも目につくようになるんですよね。いや、ホント落ち着くまで半月はしんどいのですが。
参考 子どもに「転校したくない!」と言われたら読んで
参考 転勤うつに気をつけて!引越し後落ち着いた頃がキケン!
どうせ行かなきゃならないのならば、無理やりにでも楽しみを見付けましょう。それが子どもの転校成功につながります!
転校はマイナス?いいえ、子どもを成長させる経験です
新しい環境にチャレンジできる力がつく!今はしんどくても、子はたくましくなるよ。
転校経験によって得た生き方・態度・意識
転校経験で得たものは、「どこへ行っても生活できる」が53%、「新たな自分が見つかる」が45%、「変化に恐れては前へ進まない」が44%で、生活に対する自信と変化を恐れない姿勢などを身につけ、転校が人格形成に大いに役立っていることが伺えます。
(引用:アート引越センター No.3 TRANSTAR KID’S REPORT vol.1)
一番共感できるのが、この自信です。
確かに転校は全く異なる環境で、友達もいない。
土地勘もない。
学習の進度もちがう。
そんななかで一からやっていかなくてはなりません。転校生が珍しい地方ほど、一挙手一投足が注目されることもあるでしょう。そんな逆境の中で新しい生活になじんでいけたならば、大きな自信となります。
変化の速い今の時代のなかで、生まれてからずっと同じ環境にいつづけることはありえないでしょう。転校で苦労した経験は必ず生きるときがきます。
親の仕事の都合で高校2年まで転校を繰り返した私ですが、その頃の経験が役立ったことは数多くあります。今は親も子も頑張りどころです。近い未来に振り返ってみれば、きっと成長の糧になっていますよ!
子どもの転園・転校についてはこちらにも詳しく書いています。
そして、転校があるとわかっているのなら、勉強だけは困らないようにしておいた方が絶対いいです。塾もいいのですが、転校後からすぐに再開できる通信教育も個人的には安心です。
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