『たけしのニッポンのミカタ』などのテレビや雑誌で、お得なバイトとして定期的に取り上げられている「ミステリーショッピング」。覆面調査とも呼ばれているこのお仕事は、ようするにお客様のふりをしてスタッフさんの仕事ぶりを調査するというもの。
紹介されるのは、ミステリーショッパー(調査員)がラクして稼げるおいしいバイトだということばかり。まったくの嘘ではないですが、実際に調査員として4年ほどお仕事をしている立場からすると、誇張しすぎかなと。
実際に先週久しぶりに調査してきたので、具体的な社名や店舗名などは伏せてその仕事内容や謝礼についてお教えします。
ミステリーショッパーとはどんなお仕事?
ミステリーショッパーって、不思議な響きですよね。なんだか謎めいているというか…。ですが、正体不明という意味で「ミステリー」なようです。
ミステリーショッパー
小売業やサービス業を中心に、お客さまを装った調査員が実際に利用をして評価をする。評価対象は、接客、品揃え、清掃状態、設備・備品、企画内容など体験できるものが中心。
顧客接点現場の実態を把握することが目的なので、従業員には調査することを知らせないで行う。通常、調査員は第三者機関、あるいはお客さまであるが、社員が行う場合は従業員と面識がないことが必要。
企業が自社の調査のために直接行う場合もあれば、調査専門の企業に依頼することもあります。一般的に募集されているのは後者ですね。インターネットの検索でもいくつも出てきますね。上場している企業もあり、れっきとした商売です。
企業が身銭を切って調査を依頼していますので、アルバイト感覚適当でもいいだろうというのではいけません。ミステリーショッパーが調査した内容は、レシートや応対したスタッフ確認、監視カメラの情報などと突き合わせられ精査されています。少なくとも私がメインでお仕事をしているところはそうです。
ミステリーショッパーが提出したレポートは、後日依頼企業に提出されそれをもとにスタッフで接客の改善につなげられています。人づてで聞いた話ですが、厳しめの調査員にあたり、辛辣な意見がつらねられているとかなりへこむのだとか…。そりゃあそうですよね。
ちなみに、私が登録している調査会社では、「スタッフさんやお店の改善につなげられるような建設的な意見」を求められます。つまり、けなすのではなく褒める。ひたすら褒めて、ほめて、持ち上げて、最後にちょっとだけ「もっとこうするとさらに良くなりますよ。もう完璧!」くらいのテンションでレポートしています。
私の調査に当たったお店はラッキーだと思います。別会社のミステリーショッパーが夫の職場に来たことがあったそうですが、そのときの調査員はかなり批判的な人だったらしく散々だったとか。人間なので、やはりばらつきもあります。
どんなお店やサービスが対象?
数多くのミステリーショッパーの調査会社があります。
私が登録したのは3社でしたが、それぞれの得意分野がありました。車のディーラーやガソリンスタンドが多いところもあれば、ファミレスや居酒屋、ファストフード店に強いところも。美容院やエステ、ネイルサロンなどの案件が多いところもあります。これは女性向けですね。
個人的におすすめは元手がいらない案件
基本的に自分が好きなジャンルをやればいいです。美容が好きな人はサロン周りを、外食が多いならレストランや飲み屋をメインに。
ただし、このミステリーショッピングはサロンの利用料金や飲食費は、謝礼の中でやりくりすることがほとんどです。いろいろ見てきましたが、飲食代などの実費をひくとほとんど手元に残らないことが大半です。1000円も残らないですね。
もともと行きたかったお店を利用するのならば、飲食代が浮くというメリットがあります。しかし、調査のためだけに行くのは現実的ではありません。交通費も基本出ませんし。(遠方で人がいないときは特別につくこともあります。)
飲食店調査の例
‣オーダー条件 … 6000円以上
・人数 … 2人以上
・時間 … 夜18時以降
・謝礼 … 8000円
※クーポン、ポイント使用不可
こんな感じです。夜のお酒の出る店だったら、あしがでちゃいそうですよね。
万が一、調査内容に不備があったならば謝礼もでません。だから、お仕事かというと微妙なところですよね。
ですので、私が受ける案件は購入や飲食などでお金を使わなくても良いものだけです。具体的には、ショップでの相談、不動産での物件探しなどですね。難易度としては、ただ飲食したり買い物したりするよりかなりハードルが高いです。
自分なりに事前に設定を考えて、当日突っ込んだことを聞かれてもうろたえないように頭の中で台本を作ります。この間不動産屋さんに調査に行き、実際に何件か物件を見に連れて行ってもらったのですが全くばれませんでした。謝礼よりもこの達成感の方が実はうれしいです。勝った!って感じで。
調査の内容はどんなことをするか
具体については規定にさわるので言えませんが、飲食店などではスタッフさんの動きや言葉遣い、サーブの様子やタイミング、料理の飾りつけや温かさ、料理についての質問にしっかりと答えられるかどうか。
さらには店内の清潔さやディスプレイ、トイレの清掃具合、ウェイティングのさばき方なんかまで調査員はチェックしなくてはありません。写真も撮影する必要があります。
調査項目一例
スタッフさんの動きや言葉遣い
サーブの様子やタイミング
料理の飾りつけや温かさ
料理についての知識
店内の清潔さ
ディスプレイ、トイレの清掃具合
ウェイティングのさばき方
笑顔
そして、一番大事なことはバレないこと! もし途中でスタッフさんにミステリーショッパーだとバレてしまったら調査を中断しなくてはなりません。結構なスリルですよ。撮影が危険なんですよね。名刺いただくときも危ないですね。
調査のあとのお仕事が待っている
調査自体は楽しくできるのですが、帰ってきてからの方が実は骨が折れます。案件にもよりますが、入店前からファーストコンタクト、接客態度、清掃の様子、具体的なやりとりの様子など事細かに分かれた項目にそってレポートをつくらなくてはなりません。
案件にもよりますが、小一時間はかかりますね。店内や商品の写真やレシートも必要に応じて提出します。5段階評価なら簡単なのですが、けっこう自由表記も多いのです。数年前はそれほどでもなかったのですが、ここ最近は表記についても規定が多くなっています。人によっては再提出も何度かあるようです。
提出したレポートは調査員にもフィードバックされます。誤字脱字はもちろん、ポジティブよりな意見かどうかというところまで、チェックされています。私のやっているところではレポートが5段階評価され、ポイントとして積み上げられていきます。
このポイントが多いと、やりたい調査が回ってきやすくなります。直接「こんなのやりませんか」と電話もかかってきますよ。希望のものに応募しても当選しやすくなります。
謝礼はどのくらいもらえるのか?
調査会社や案件によってばらつきはあります。飲食だと1000円から3000円くらいですね。美容室やサロンだと5000円から1万円くらい。
私の場合は、やる人がいなくてボーナスが付いた案件しかやりません。ですので、その1.5倍ちかくですね。ショッピングセンター内の店を3件まとめて調査するものなどは、6000円でした。買い物しなくてよいので、まるまる手元に残る計算です。
言うほど楽ではない!…でも面白いのでやっても損はない
テレビで紹介されているほど、お金も得られませんし手間もかかります。それでも、スパイ気分で実質無料のサービスを受けられるのがミステリーショッピング。スマホ1台あれば、メモも撮影も自然にできます。
地方だと案件も限られますが、スマホでできる在宅調査もあります。女性ならではの細やかな感覚が役立ちますよ。
参考 確実に稼ぐならwebライターという手も!