実際に、お子さんとやってみよう!
過去の『AERA with Kids 2014夏号』の算数力強化の連載のなかで、ちょうどいい問題があったので、一部の名前など入れ替えて例題とします。
文章題を絵にしてみる
たかし君は、家の近くの公園の並木道を散歩しています。
ここには、5mごとに同じ間隔で木が植えてあり、数えてみると全部で10本植えてあることが分かりました。
この並木道の最初の木から最後の木まで何mあるでしょうか。
まず、声に出して問題を読ませてみました。
「並木道」を読み間違え意味もわかっていませんでした。
問題では何を問われているかということについては理解しています。
その後、木を10本書いてみたものの、なぜか式には反映させていません。
雑に描いていて、しっかりと間隔それぞれを数えていなかったようです。
丁寧に絵に描き、間隔も書き加えていくことで間隔は9つと分かります。
繰り返し類似の問題を解いていくうちに、「木が10本なら間隔は9、9本なら間隔は8点」と感覚がつかめるようになってきます。
ここまでくれば、「木の本数から1を引いた数が間隔」という公式は納得できるはずです。
256本などといった、実際には絵に描き切れないような問題でも解けるようになります。
求められているのは、木と木の間隔の合計です。
木が2本の場合は1つです。
木が10本の場合は「木の数=感覚」と勘違いし「5×10=50m」としがちです。絵に描くことで、「木の本数-1=間隔」と分かります。
つまり5×9=45 答え45m
クラスメート33人で遠足に行きました。
湖でボートに乗って遊ぼうと思います。
ボートの定員は4人です。
全員で乗るにはボートを何そう借りればよいでしょうか。
「全員乗る」という条件があります。
あまりの扱いをどうするかということがポイントとなってきます。「33÷4=8あまり1」で、あまった1人にもボートは必要です。
33÷4=8あまり1 答え9そう
たかし君はクラスの背の高い順に一列で並んでいます。
たかし君の前にはひさし君、たいち君、そうた君がいて、後ろには17人並んでいます。
この列は全員で何人いるでしょうか。
実際に絵を描かないと「たかし君の前には3人、後ろには17人だから3+17=20人と早とちりしがちです。
うちでもそうでした。絵にしてみると、たかし君も含めて21人ということが明らかです。
4+17=21 答え21人
文章題を図にしてみる
たかし君のお父さんの体重は、たかし君の3倍あります。
親子の体重の合計は92kgになります。
たかし君の体重は何㎏でしょうか。
お父さんの体重がたかし君の3倍。
つまり、たかし君の体重を1とすると、お父さんは3ということです。
2本の線分図を描くことで、親子の体重の関係がはっきりしてきます。
たかし君の1とお父さんの3、4つ分で92㎏ということで、「92÷4=23」がたかし君の体重です。
92÷4=23 23kg
ふうとうと便せんの値段は合計110円です。
ふうとうは便せんよりも100円高いです。
便せんの値段はいくらでしょうか。
問題文だけ読んでいると、大人でもひっかかります。
「ふうとうは便せんよりも100円高い」という意味を勘違いして、封筒の値段を「110-100=10円」としがち。
夫にも試してもらったら、まんまと間違えました。
(名誉のために言っておくと、自分で気づいて解き直しました)
ここでも、線分図にしてみること。
封筒とびんせんの値段の関係性がよく分かります。もし、便せんが10円、封筒が100円ならば「ふうとうは便せんよりも90円高い」となるはずです。線分図に当てはまめると、間違いに築きやすくなるのです。
(110-100)÷2=5 答え5円
たかし君のうちの車は5Lのガソリンで75㎞走りました。
ひさし君のうちの車は5Lのガソリンで78㎞走りました。
どちらの車の方がねんぴがよいでしょうか。
2台の車の燃費を比べるために、やはり線分図を利用します。
それぞれで、「1リットルあたりで何キロ走ったか」ということを割り出します。たかし君のところでは「75÷5=15」、ひさし君の車では「78÷6=13」。
15の方が13よりも大きいので、燃費はたかし君の車の勝ちです。
75÷5=15
78÷6=13
答え たかし君の車
文章題を正しく読み取る
文章題もだんだんと意地悪なひっかけが仕掛けられてきます。
わざと関係のない情報を盛りこんでミスリードをまねいたり、ややこしい言い回しが使われているから、見ただけで拒絶反応を起こしがちなんですよね。
先に言ったように、音読や絵に描いたりすることも有効です。
加えてもう一歩。
問題文を正しく要約する練習も取り入れること。
国語の要素も入ってきますね。
たかし君は3000円のおこづかいをもって、ひさし君とたいち君とそうた君といっしょに遊園地に遊びに行きました。
1人1回500円のゴーカートをたかし君とたいち君の2人で、1人1回500円の観覧車をひさし君とそうた君の2人で、550円のジェットコースターをたいち君以外の3人で乗りました。
そのあと、1個130円のアイスを全員で1個ずつ買いました。
たかし君のおこづかいは残りいくらでしょうか。
登場人物も多くなり、ややこしい問題です。
文章を読むのが苦手だったり、極端に遅かったりすると、最後まで問題を読み切れないことがあります。
国語力が足りないと、読んでいるそばから内容を忘れてしまいます。
大事だなと思う部分を抜き書きして、自分でまとめるように指導します。 ・たかし君 3000円のおこづかい
・1人1回500円のゴーカート
・1人1回550円のジェットコースター
・1人1個130円のアイス
★たかし君のおこづかいの残りは?
観覧車には乗っていないから、それ以外を3000円から引いていきます。
3000-500-550-130=1820 答え1820円
たかし君は44人のサッカーチームのキャプテンです。
11人ずつのチームに分かれてトーナメント戦をするので、たかし君は景品のうまい棒を用意しなくてはなりません。」
優勝したチームにはうまい棒を3本ずつ、準優勝のチームには1人2本ずつ。そのほかのチームには1人1本ずつ配ります。
景品のうまい棒は何本必要でしょうか。
まず、トーナメント戦の意味が分からなければ、そこに引っかかってしまいます。
直接式を立てるのには関係のない文章です。
惑わされないように、問題で求められていることが何かを読み取れるかどうか。また、文章の最後に出てくる「ほかのチーム」が何チームあるかを割り出さなければなりません。チームすべてのにうまい棒を配られることが分かれば、あとは難しくはありません。
日常生活の体験のなかで、子供会や習い事のチームでお菓子を配られた時のことを思い出せれば理解しやすくなります。
算数や理科、社会でもそうですが、いくら知識を詰め込んでも実体験がないとピンときません。
1リットルの牛乳、2割引、歩く速さはだいたい時速3km…などと、実体験があるほどイメージがつかめます。実体験に引き寄せて考えられると強いです。
44÷11=4
(3×11)+(3×11)+(1×11)+(1×11)=77
答え77個