台風や地震といった自然災害で、ライフラインがストップしたらどうしたらよいか。
電気、水、ガス、情報がどうなるかのほか、今すぐにできる対策をお知らせします。また、ライフラインがストップする前に用意しておきたい事もまとめています。
今のうちに準備を
✅まだ水が出る
➡ペットボトルや浴槽に水を張ろう
➡生活用水なら洗濯機にためる方法も
✅まだ電気が来ている
➡電気がきてるうちに、スマホはフル充電
➡モバイルバッテリーもあるだけ充電
➡明るいうちにラジオを出しておこう
✅停電したなら
➡通電に備えてブレーカーを落とそう
➡パソコンなどの精密機器もコンセントを抜いておこう
東日本大震災でライフラインが止まった経験から
停電、断水、おまけにガスもストップ。あせるけど、落ち着こう。
私は東日本大震災の時に岩手県にいました。
参考 小さい子供がいて、大震災に遭遇するとどうなるか
地震直後から、電気・ガス・水道のライフラインが止まりました。まだ幼稚園にも通っていない幼子を抱え、ライフラインは数日~1週間ほど使えませんでした。
実家の宮城県ではガス開通まで1ヵ月月以上かかり、銭湯に数時間待ちの行列ができました。まだ寒く、雪もちらつく頃です。灯油やガソリンに至っては1ヵ月くらい購入できなかった覚えがあります。
ライフラインが断たれてしまったら、本当になにも出来ません。今あるもので、どうにか切り抜けるしかないのです。防災グッズは山のようにありますが、実際に被災して役立ったものは何か。
不便な被災後の生活を何とか乗り切った自分の経験からお伝えします。
水道が止まると
給水車が来ると思うでしょ?すぐにはこないし、どこに来るかも情報がない!
困るのは飲料水だけじゃない
災害で断水となると、困るのは飲料水だけではありません。消火で必要な水や、応急処置で使うための水もないのです。
地震の影響で水道管が破裂することもあります。こうなると、断水から復旧しても水は使えません。
地震直後はすぐに断水が起こる確率が高いです。空のペットボトルや鍋かまにも水を汲んでおきましょう。私の場合は、大きな揺れが収まった後にお風呂場へ行き、水を張ることにしています。
浴槽の清潔度によってどのレベルに使えるかは変わってきます。それでも、生活用水としては十分使えます。日頃から入浴後の水を抜かないでおく方法もありますが、衛生的に気になるので私は止めました。また、大きな揺れだと浴槽の水があふれてしまうそうです。
断水時に一番困るのが、トイレを流せないこと。尾籠な話ですが、数人分まとめて流すようにしましょう。その際、トイレットペーパーは中国方式で別のゴミ箱などに捨ててください。手洗いや米とぎに使った水などをためて、トイレ用にするのも実用的です。
断水中も出ないと分かっているハズなのに、蛇口をひねってしまうんですよね。赤ちゃんのおしりふきやウェットティッシュをフル活用しましょう。
食事の時は皿にラップをかぶせて洗わずに済むような工夫も有効です。
給水車をあてにしない
災害があれば給水車が来ると思っていませんか。私もそういうものだと信じていました。現実は来ません。正確に言うと、給水車はこちらの都合で来てくれません。
1週間くらいして、「給水車がどこどこに来る」という情報が届くようになりました。
遅すぎです。
もっと早く来ていたのかもしれません。ですが、それがいつどこなのか知る手立てがありません。運よくすぐ給水車が来たとします。水が欲しいのはあなただけではありません。
寒空の下、幼子を抱っこしたまま長時間並ぶのはキツイです。
そして、水は重い。今でこそキャリーバックばりに楽に転がせるポリタンクを用意しています。
当時は何もなし。ポリタンクならば、カートや台車も用意する必要があります。
悪いことは言いません。万一に備えて飲料水だけでも3日分は確保しておきましょう。目安は1人1日3リットルです。
水の保存期間はおよそ3日間とされています。実際のところは、なみなみいっぱい入れて空気が入らないようにしておけばもっと保管できます。定期的に交換すれば、市販のものを買わなくても大丈夫です。
交換した水は無駄にしないで、洗濯などに使ってください。ただし、夏などは水温が上がり塩素も減りやすくなります。また、浄水器の水では消毒用の塩素が抜けているので不向きです。
震災があってしばらくは水の入れ替えもするのですが、1っカ月もたつと忘れます。私のことですが…。そういう人は、数年単位で保存の利く専用の水が安心です。防災用の水があります。重いので通販で購入しておくことをおすすめします。
電気が止まると
高層マンション住民は、エレベーターが使えなくなるかも…。水と食料は必ず備えて!
家電製品が使えない
電気が止まると当たり前ですが夜は真っ暗です。
子どもが怖がるのが辛いです。外用のソーラーライトやランタンを室内に持ち込んで明かりをとりました。レジ袋を光源にかぶせると、明るさが増しますのでやってみてください。
知り合いの中には、ツナ缶とティッシュこよりでランタンをこしらえたツワモノもいます。まあこれは、火事が心配なので真似しなくていいです。
基本は日の出とともに起きて明るい昼間を有効活用!暗くなったら、さっさと寝ます。
テレビやパソコンが使えないので、静かで退屈するのが辛いかも。子どもには本を読んであげたり、いっしょにボードゲームをして遊んであげたりするとコミュニケーションもはかれます。
注意したいのが、停電しているうちにコンセントからプラグを抜くこと。電気の復旧時に、電熱機器が火災原因となることがしばしばあります。外出や避難の際には、念のためブレーカーを切っておく方が安心です。
もし、近所に電線が切れている場所があれば近づかないコト!大変危険です。うちの近所でも一軒ありました。
高層マンションはエレベーターが止まると地獄
地震や台風の影響は、エレベーターにも及びます。
マンションの場合、高層階でエレベーターが動かなくなることがあります。水をくみ上げるポンプが停止することで、水道が使えなくなるという悪い連鎖も起こります。
そうなれば、食料や水を確保するのも一苦労。長時間並んで手に入れた重い水や食料を10階まで階段で運ぶなんて、恐ろしいですよね。
高層マンション住まいの方ほど、備えをしっかりと!
備えておきたいもの
台風や地震で電気が止まっても、冷蔵庫のなかはしばらく冷えたままです。
もし冷凍庫に保冷剤があれば、冷蔵室に移します。足の速そうなものから食べていきましょう。常備菜がある家庭ならば、冷蔵庫の中のものだけで3日は余裕です
そして欠かせないのがこちらです。
・携帯ラジオ(予備電池も)
・携帯の充電器
懐中電灯は人数分ないと不便です。1本しかなければ、誰かがトイレに行ったらその間は身動き取れません。
ラジオは災害避難時に持ち運べるように携帯サイズのものを。防災用で、ライトや充電器が付いているものもありますが多機能な分壊れやすいです。手回しも、弱っている非常時に疲れます。
数個買ってはみたものの、ごく普通のラジオに落ち着きました。災害時に情報を得るためにラジオは欠かせません。使いやすいものを探してください。
ガスが止まると
卓上コンロがあれば、問題なし!アウトドア派も強い。
都市ガスは復旧に時間がかかる
私は過去3回ほど地震でガスが止まった経験があります。
都市ガスは震度5以上の揺れになるとマイコンメーターの機能で、自動的に止まるようになっています。
基本的にこれは自分で復旧することができます。詳しい手順はメーターまわりに記載してあるので、この機会に確認を。
東日本大震災のような大地震となると、ガス会社の安全確認が終わるまで使えなくなります。当時は仙台のガスを復旧させるため、全国各地のガス会社から助っ人が来てくれました。
復旧の目安は、都市ガスで2週間程度です。地中の配管点検、復旧作業、器具の安全点検などをしていると、どうしても時間がかかってしまうのです。
これがプロパンガスだと3、4日です。
復旧までの乗り切り方
卓上コンロがあれば料理は勝ったも同然!
圧力なべや保温鍋があれば短時間加熱でガスボンベを節約できます。電気が使えれば、シリコンスチーマーや炊飯器と料理器具の幅が広がるので余裕です。
お風呂に入れないので、沸かしたお湯を大事に使います。穴を開けたペットボトルをシャワー代わりにしたり、ホットタオルで清拭したり工夫を。
お湯を沸かしたり調理に使ったり。卓上コンロがあるだけで、被災生活が2ランク楽になります。
イワタニが性能も安全面も間違いないです。
情報が止まると
ふだんから、家族との連絡をどうするか考えよう。避難情報や復旧情報は公式からとること!
台風や地震の災害時に家族や友人と連絡が取れないのは不安です。災害時には被災地に電話が集中しつながりにくくなります。
電話、メール、SNSなど複数の災害時用連絡手段を覚えておきましょう。
電話を使った声の伝言板「災害用伝言ダイヤル171」。インターネットを使った「災害伝言板web171」があります。
毎月1日や防災週間には体験利用できます。
実際に私も親も試してみたのですが、最初は上手くいきませんでした。災害時ならなおさらです。
平時に試しておくことを強くおすすめします。
携帯電話がつながらないときに備えて、近所の公衆電話の場所も確認を。
意外と見落としがちですが、子どもは公衆電話を使えません。大人が実際にやってみせながら、子どもに使い方を教えましょう。受話器を取ってお金を入れることも教えなきゃわかりません。うちの子どもは、家の電話番号のメモと10円玉数枚をいつもランドセルのポケットに入れています。
避難情報や給水車、食料などの提供の情報などは、ラジオが一番です。
停電や断水、ガスの復旧情報も確実です。バッテリーの心配がなければ、NHKONLINEなどの、信頼できる公式サイトなども有効です。できれば、平時に登録しざっと眺めておきましょう。
物流が止まると
災害となるとお店に長蛇の列。わざわざ混んでるとこに行く必要なし。
物流が止まるので買い物ができません。
ですが、焦らなくても大丈夫。家族がいる家庭ならば、冷蔵庫の中やパントリーに食べられるものはありますよね。普段のように十分に栄養バランスよくとはいきませんが、身体にはエネルギーが蓄えられています。2、3日きちんと食べられなくても大勢に影響はありません。
焦ってお店にならぶより、家にあるもので何とかしましょう。缶詰や野菜ジュースを使っての料理も、意外とアレンジが広がります。非常時の料理については、いろいろ研究されているのでそのうちご紹介します。
あえて非常用に備える必要はないと思います。カップ麺や携帯食を買い込んでも、非常時は身体が受け付けません。非常時こそ、暖かくて普段食べているものが欲しくなります。
昨今言われているローリングストックで十分です。ただし、離乳食やアレルギー対応食が必要な家族がいるなら備えを。
災害の復旧には地域差がある
災害は忘れたころにやってくる。ホントだよ。備えてる?
私がいた盛岡市では、地震の翌日の夜に明かりがついていた地区がありました。真っ暗ななか、毛布にくるまりながらぼんやりとその明るさを眺めていたおぼえがあります。
被害の多くないところを除き、数日のうちに停電は復旧しました。水についても、断水したところとしないところが分かれました。ガスについても同様です。ただ、都市ガスは被害が大きく復旧には時間を要しました。特に仙台では1ヵ月以上が大半でした。
情報についてですが、電話はまず駄目でした。通信制限がかかり電話もメールもとてもつながりにくくなりました。
加えて、停電で電気が使えないため充電できないのが盲点でした。宮城や岩手の友人とは半月連絡が取れませんでした。岩手沿岸の友人とは、ドコモが衛星電話を持ってきてくれたおかげで安否の確認が取れました。今の時代に情報が遮断されることは不安を大きくします。
流通もストップするのですが、通常営業になるのも地域差が大きいです。ガソリンはどこでも入荷できず、まれにあってもすぐになくなってしまいました。
車通勤の人は難儀していました。平時からガソリンの残量が半分を切ったら給油する習慣をつけた方がいいでしょう。
津波被害もそうでしたが、数メートのちがいで状況は変わります。家が無くなった人と普段通りの人。隣り合っているのが、また問題を大きくします。
地震や台風の災害を完璧に予測することはできません。できることを今のうちから対策するだけです。
ヒマなときに、と思っていてはいつまでたってもやらないまま。何も備えていない人なら、オールインワンの非常袋だけでも用意しましょう。
災害はいつ誰の身に降りかかるか分かりません。いざというときに頼りになるのは、手元に備えてあるものだけです。
災害が起きると品切れで入荷に時間がかかります。近年の他手続きの災害の影響で防災グッズは品薄です。今すぐに備えましょう!
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